水面を走る石を見ていた。ピチャンピチャンと軽い飛沫を上げて夜の闇に向かって走っていく。石だと思っているのはあくまで想像で、それは貝殻だったかもしれない。こんな砂浜にうまく跳ねるような石はそうそう落ちていない。五回跳ねてその石だか貝殻だかは沈んだ。
「いつまでやってんだよ」
「さあ」
次に投げるやつを探す影に聞いた。街灯だけが照らす暗い砂浜で仁王の白い髪は妙に目立つ。
生返事で返した仁王は屈んでいた体勢を戻し、また夜の海へとサイドスローで石を投げた。今度は六回。俺は膨らんでいたガムを割り、また膨らまして割った。
「飽きねえの?」
「うん」
何やってんだろう、と思った。仁王にではない、俺にだ。さっきからポケットの中で定期的に携帯が震えている。最初の二回くらいは相手を確認して、どうせ親だとわかってからは取り出すこともしなくなった。今この場における最も緊急の用件ならば、仁王にも連絡が来るだろう。携帯を見ていないから時間もわからない。夜だということだけは確実だった。
STAND BY ME
幸村くんが倒れた。
いつものようにレギュラーメンバーで最寄り駅までぐだぐだ歩いていたときだった。俺はそのとき確か、散々だった赤也の期末テストの点数をわざと真田や柳に聞こえる声で読み上げて遊んでいた。ギャーギャー騒いで答案を取り返そうとする赤也を躱しているとやがて来るだろうと思っていた真田の怒声が響いた。けれどその内容は想像と違っていた。
「幸村ぁ!」
は?と思って振り向けば階段の下に幸村くんが倒れていた。膨らましたガムが割れることなくヘニャリと下顎に垂れ下がった。どれだけキツいメニューをこなしても膝をついたところさえ見たことない幸村くんが、倒れていた。
それから多分みんなで駆け寄って、柳が119番を押して、救急車が来て、全員は乗れないからって真田と医学に詳しい柳生だけが一緒に乗って、言われた病院に行って、赤也が泣いてて、駆け付けたら幸村くんが手術室に運ばれるところで、柳生が何か難しい専門的なことを話してて、真田が何かを叫んでて。
俺の頭の中には最初に見た息の荒い幸村くんの苦しそうな表情だけがぐるぐる回っていた。何が起こってるんだろう。味の無いガムを噛んだり膨らましたりしながら目の前の光景を映画みたいにぼんやりと眺めていた。肩に置かれた手が誰のものだったかも定かではない。何が起こってるんだろう。何が起こってるんだろう。吐き出すことを忘れたガムはやがて口の中でバラバラになった。面倒になって飲み込んだ。
そうして気が付いたときには、仁王と二人繁華街の雑踏を歩いていた。
「何か食う?」
一番最初に覚えている仁王の言葉はそれだ。あれ、何で仁王がいるんだろう、そう思いながら俺は「別に」って答えた。答えてから驚いた。いつも一瞬で空っぽになる胃も糖分を欲する脳も何も望んじゃいなかった。食に興味を示さない俺に驚いた仁王とそんな俺に驚いた俺は目を見合わせて、少し笑った。俺はきっと情けない表情をしていたんだろう。だって仁王の笑顔は普段絶対に見られないくらい情けなかった。
「お前は?腹減ってんの?」
「別に」
こっちは通常運転だ。仁王が食に執着しているところなんて俺は見たことがない。いや、実際は腹が減って食べ物を欲するときだってあるんだろう。俺はそんなに仁王のことを知っているわけではない。少なくともこんな日に二人のんびりと並んで歩くほどわかり合っちゃいない。
「ゲーセンでも寄ってく?」
俺は少し混乱したまま、通りかかった賑やかな店の前で言った。仁王が曖昧に頷いて、雑踏よりさらに酷い喧噪の中に紛れた。最初は一緒に、少し趣味が違うと気付いてやがて別々に、適当なゲームを選んで適当に遊んでみたけれど、どれも長続きしなかった。
「行こっか」
三十分ほどで合流して、居心地悪く店を出た。どちらともなく呟いた言葉はけれど帰ろうか、ではなかった。仁王が一発で取ったチョッパーのキーホルダーだけを戦利品に、俺たちはまた歩き始めた。
少しずつ少しずつ、記憶を辿る。追い出されるように病院を出て、もちろん最初に声を掛けてきたのはジャッカルだった。
「帰るか」
俺とジャッカルはいつも一緒にいて、それこそジャッカルが日本って国を知った頃から一緒にいて、ジャッカルの口がちょっと悪いのは俺の口調が移ったからだし俺が甘いもの好きな理由の半分くらいはブラジルにクソ甘い家庭料理があったからだし、当然こんな日は一緒に帰るものだとジャッカルは思っていたんだろう。俺だってそう思っていた。
「いや、俺ちょっと寄るとこあるから」
でも俺の口から出たのは拒否だった。口にしてからあれ?と思ってジャッカルを見上げて、虚を突かれたような色黒の顔が見えてどうしようと思ったときには黒い顔は苦笑に変わっていた。
「そっか、じゃあ俺先帰るわ」
そう言ってジャッカルは足早に病院を後にした。泣いてる赤也とそれを宥めてる柳と親の仇かのように病院を睨み上げる真田の三人ともに曖昧な別れの挨拶をして、その誰をも誘わずに帰って行った。少し悪いことをしたかもしれない、と思って、でもそういえば付いて行こうかって言われなかったな、と思った。どちらかといえば寄り道をすることの多い俺にジャッカルはいつも付き合ってくれた。よっぽど俺が一緒に居たくなさそうだったか、ジャッカルが本当は俺と一緒に居たくなかったかのどちらかだったんだろうと思った。両方かもしれないとも思った。
俺は嫌なことがあったらいつもジャッカルにワガママ言って、あの丸い頭をシバいて、そうしてウマいもん食って発散してきた。ジャッカルは文句言いながらも最後には絶対笑って仕方ねえなって俺の頭をクシャっと撫でてくれた。まだ弟が生まれる前、いつもそうしてくれていた両親みたいに。
でも今日は駄目だった。ジャッカルにも動揺する権利をやらなきゃいけなかった。俺が衝動に任せて暴言吐いてぶん殴って泣き喚いても、きっとジャッカルは笑って俺を許しただろう。仕方ねえなって頭を撫でてくれただろう。それじゃ駄目なんだ。俺が甘えてしまったら絶対にジャッカルは陽気であろうとする。だからジャッカルと一緒には帰れなかった。ジャッカルにもおそらくそんな余裕はなかったんだと思う。
「俺たちもそろそろ帰るが、お前達は?」
声を掛けてきた真田に、もう少しいる、と答えて三人を見送り、しばらくぼんやりとしていた。……お前「達」?俺は振り向いた。気付けば仁王と二人になっていた。
そんなわけでどちらともなく同じ方向に向かって歩き出したのだった。互いの家すら知らないし、事実向かった方向に俺の家はなかった。バスに乗るでも電車に乗るでもなく、俺たちはただひたすらに歩き続けた。あんまり方向感覚には自信がないけれど、南に向かっているような気はした。
ゲーセン以外の寄り道は一切しなかった。食べ物一つ買わなかった。繁華街を抜けて、住宅街をいくつか突っ切って、工業地帯なんかも通り過ぎて、ただ黙々と歩き続けた。テニスとは違う緩慢な運動でも、長く続ければ体に熱を持たせた。体温が上がるほどに冬の空気を冷たく感じた。
病院を出るときすでに紫色が浸食していた冬至の近い空は、既に真っ暗になっていた。冷たい北風に混じって潮の匂いがした。やっぱり南だったんだ、と思った。俺たちの住む街は南に進めばやがて海に辿り着く。電車じゃすぐで、歩けば遠い。でもどこまでもどこまでも歩いて行こうとすれば案外近く感じた。潮の香りが強くなって波の音が聞こえ始めた頃、周りを通り過ぎる建物に色褪せが目立ち始めた。ここまで来て足を止めるはずもなく、黙々と歩き続けていれば誰もいないビーチに出た。行き止まりだった。日本は狭いなって初めて思った。
「行くぜよ」
「は?」
堤防に上った瞬間に仁王がそう言って、そのまま歩みを止めることなく砂浜に飛び降り海へと向かっていった。何するんだろうと思って見ていれば、靴も靴下も脱いでズボンを捲り上げ、何の躊躇もなく砂浜に乗り上げる薄い波を踏みつけた。引いていく波を追いかけ、戻ってくる水から逃げ、一人冬の海で遊んでいる。頭おかしいんじゃねえのと思いながら勢いもなくとぼとぼと後を追った俺を振り向き、仁王は笑った。俺は呆れた。
「冷たくねえの」
「うん、冷たい」
「馬鹿じゃねえの」
「うん、そうかも」
このとき初めて何で仁王と帰ることを選んだのかわかったような気がした。
俺も仁王と同じように膝から下だけを空気に曝して、波打ち際に駆け込んだ。向かってきた波が弾けた。わかっちゃいたけど、馬鹿みたいに冷たい。むしろ痛い。
「やっぱ冷てぇよ」
「言ったじゃろ」
「馬鹿だろぃ」
「丸井もな」
何もかもが馬鹿馬鹿しくなって仁王に向かって波を蹴り上げた。飛沫が仁王の制服を濡らす。当然報復はやってくる。仁王が思い切り蹴り飛ばした海水が顔面にぶち当たって、頬を伝い唇に流れ込んだ雫が塩辛さを伝えた。一度濡れてしまえば後はどうとでもなれ、だ。流石に頭から飛び込むようなことはしなかったけれど、俺たちは暫く互いを濡らすことに躍起になってはしゃぎ回った。
真田達が帰って病院の前で二人取り残されたとき、仁王は柳生の後ろ姿を眺めていた。逆にしんどくならねえのってくらいの猫背でポケットに手を突っ込んで立ち尽くす仁王は、俺よりでかい奴に言うのも何だけど迷子の子供みたいに見えた。お前らも一緒には帰らないんだなって共感めいた奇妙な感覚があった。
仁王と柳生が普段どんな風にコミュニケーションを取っているかは表面的なところしか知らない。大して興味も無い。俺とジャッカルみたいなもんかもしれないし、そうではないかもしれない。それでも何となく信頼はしてるんだろうってことくらいはわかる。固定ってわけでもないけどここぞという試合にはそれぞれタブルスで出る俺たちは部内で対戦することもよくあって、そうすれば俺もずっとダブルスでやってきた人間だからそれなりに相手の関係性は見えてくる。俺からすれば二人とも何考えてんだかわからない得体の知れない奴らだけど、俺にはわからない二人がわかり合えていたって別段不思議ではない。案外二人は俺のことをよくわからないとでも思っているかもしれないし。それはないかな、俺は単純だから。
とにかく彼らには彼らだけにしかわからない世界のようなものがあって、嫌味満載の掛け合いだとか悪戯と報復の応酬だとか頭の良さを無駄に使った児戯で色んなことを消化しているように見えた。ふざけてばかりの仁王に柳生は説教垂れ流しながらも決して激昂するようなことはなくて、そんな冷静さが仁王にとっては面白い一方で安心できる場所でもあったんじゃないかと思う。何だかんだでいつも一緒にいたから。
今日あいつらが一緒にいれば、ジャッカルが陽気であろうとするように、柳生も冷静であろうとするだろう。変わらない日常の中で少しヘコんだこととかムカつくことがあった程度ならそれでいいんだ。それがいい。でも今日は駄目だ。そこだけは仁王も俺と同じように考えたんじゃないかって思った。柳生と一緒に帰らなかったのがその証拠だ。
いつもと違うことが起こったとき、いつも通りに振舞おうとする奴がいる。でも、それは違うと俺は思う。いつも通りでいようとするってことは、異常に目を背けるってことだ。非常事態にはそれなりの対応をするべきなんだ。いつもと違う奴といつもと違う帰り道を辿るとか、冷たい冬の海に入って行くとか、そういう試みを経て以前には戻れない自分の立ち位置なんかをきちんと確認する必要がある。少なくとも俺はそう思っている。
だから俺は仁王を選んだ。仁王も俺を選んだ。いつも通りじゃいられない。いちゃいけなかった。
多分小一時間くらい、はしゃぎ回って、濡れた制服もそのままに俺は砂浜に倒れ込んだ。このままいたら風邪引くかな、と思ったけれどジャージに着替えるのも面倒だった。
そのうち水面を打つ微かな音に気付いて、上半身だけを起こしてみれば仁王が石みたいな何かを拾っては投げ、海上に跳ねさせていた。
「懐かしいことやってんな」
「じゃろ?俺これ得意なんよ」
どれだけはしゃげば気が済むんだよ、と思った。それはそのまま仁王の心の揺れを反映しているはずだった。普段チームから一定の距離を置いているような仁王だったから、幸村くんのことでこんなに動揺するのは意外な気もした。仁王が投げる石が跳ねるのをぼんやりと見ていた。俺ももう少し乗ったってよかったけれど、一度座り込んだらもう立つのが面倒だった。仁王の背中と、小さな飛沫を上げてやがて沈んでいく石を見ているうち、漸く俺は幸村くんが倒れたんだってことをきちんと考えた。
幸村くん。俺たちの部長。一年の頃からレギュラーで、化け物みたいな真田や柳も寄せ付けない絶対の人。
初めてそのテニスを目にしたときは、もはや悔しいとさえ思えなかった。どんな球でも的確に返し、その体のどこからそんなパワーが出てくるんだってくらい力強いスマッシュをコートに叩き込む。華麗でエネルギッシュで、こんな完璧なテニスがあるなんて俺は知らなかった。わざわざ立海を選んだくらいだから俺も俺のテニスに自信やプライドを持っていたけれど、幸村くんの前では全てがちっぽけなものに見えた。両手を上げて降参するしかなかった。
テニスには厳しい幸村くんだったけれど、コートの外では意外に人懐こくてお茶目な一面もあった。天才特有の理解し難い言動なんかもあったけれど、基本的に優しくて面白くて、ああこの人は本当に完璧なんだなっていっそ感動した。情けないと思われるかもしれないが、この人の、例えば隣でなくていい、斜め後ろくらいでも一緒に歩ければ、それだけで誇らしいことのような気がした。
俺はいつしか、俺が知る中で一番強い幸村くんを倒したいというよりは、幸村くんと同じチームで勝利を味わうために強くなりたいと思うようになっていた。
最初から「共に三連覇」とか言ってた真田や柳はもちろん、他のメンバーも似たようなものだったんじゃないかと思う。自由の塊みたいな仁王だって、本当はずっとそうだったんじゃないのかな。今日初めて実感したけど。
とにかく幸村くんは特別なんだ。だって俺たちはみんな幸村くんに出会うまでは一等賞な奴らばかりだった。今でもどこへ行ったって一番張れる俺たちがそれなりに一枚岩みたいな顔してチームなんて作れてるのは幸村くんがいたからだ。わざわざ個人競技を選んで頂点を極めてるような連中が団結なんてしてしまう、幸村くんはそれくらい特別な存在だった。
その幸村くんが倒れた。そんなの普通でいられるわけがない。例えば俺が無防備にジャッカルに甘えてられたのも、その背後にはいつでも幸村くんっていう絶対的な存在がいたからだ。忠誠を誓ったなんて真田みたいに堅苦しく表すつもりはないけれど、でも幸村くんの下で団結した俺たちは幸村くんが居なくなってしまえばどうすればいいのかわからない。知らない土地で迷子になった子供みたいなものだ。病院の前で立ち竦んでいた仁王のように、心細くて堪らない。
ここで話は冒頭に戻る。仁王は何かを海に投げることをずっとやめないでいて、俺はその背中をずっと眺めていた。
「なあ、知ってるか、迷子の子供って、迷子になってるうちは、あんまり泣かないんだよ」
何を言っても何かを投げ続ける仁王にかこつけて、独り言のように俺は言った。
「去年だったか下の弟連れておつかいに行ったとき、ずっと手繋いでたはずなのにちょっと気抜いた隙にはぐれちまったことがあってさ。普通に迷子センターに連れてかれてたんだけど、迎えに行ったら係のお姉さんが「全然泣かない、強い子ですね」って笑ったんだ。なのに弟の奴、俺の顔見た瞬間大声で泣き出してさ。そのとき知ったよ、子供が泣くのは悲しいときじゃなくて安心したときなんだ、って」
「ふうん」
仁王が気のない相槌を打ってくれたおかげで俺の話はギリギリ独り言にならずに済んだ。まだウロウロと投げるものを探していた仁王は、見える範囲にあるものはあら方投げ終えてしまったのか漸く波打ち際から離れ、俺の方へと歩いて来た。
「そんで?」
「それだけだよ」
仁王は隣に腰を降ろした。俺はもうケツから根でも生えたかのようになっていた。ポケットでまた携帯が震えたけれど、やっぱり無視して海を眺め続けた。
「寒いナリ」
「だな」
動いていた仁王より俺の方が絶対寒い自信があった。けれどさっきまで四方八方から吹き荒んでいた冷たい風が仁王のいる側だけ和らいでいることに気付く。俺は温もりを求めて仁王に身を寄せた。仁王は少しだけ驚いたように俺を見下ろしたけれど、何も言わずに触れた場所へと体重をかけてきた。どうしようもなく途方に暮れた気分になった。泣きそうになって、ぐっと我慢する。
俺は今度こそ心の中だけで独り言を言った。
ーー悪いけど俺はお前の前じゃ泣けねぇよ。お前だってそうだろ?俺たちは多分、お互いのことを自分よりガキだと思ってる。そしてきっとどっちも間違っちゃいない。俺たちはガキだ。泣くことが格好悪いと思ってるガキで、けれど誰も迎えに来てくれない迷子のように心細くて肩寄せ合って震えてるガキだ。ジャッカルや柳生に甘えてられるほど無神経にはなれず、泣きじゃくる赤也を宥めたり一人ぼっちでいられるほど余裕を見せることもできないクソ格好悪いガキなんだ。弱くなり過ぎないように、強がり過ぎないように、俺はお前を、お前は俺を選ぶことしかできなかったんだ。
風が冷たい。生乾きの互いの服はうまく体温を伝えてもくれない。
「やっぱ寒いな」
「丸井はあったかいぜよ」
「お前が冷てえだけだろぃ」
「ああ、そうかも」
今頃ジャッカルはどうしてるだろう。親父さんのウマい飯でも食ってんのかな。明日の朝練に行けばいつも通りの陽気な笑顔で俺を甘やかしてくれるんだろう。だから今日は休んでいいよ。俺は仁王とうまくやっとくからさ。
明日から学校へ行っても幸村くんはいない。もう少しだけ心の整理をさせて欲しかった。明日からちゃんと強がるから、幸村くんが無事に帰って来られたら迎えが来た子供みたいに大声で泣くから、今日だけは頼りないガキ同士支え合っていたかった。どれだけ身体が冷えてもどちらも帰ろうとは言い出さなかった。